ポストモダン解析学: [定義13.3]分割と回転(解決)

http://ashiato45.hatenablog.jp/entry/2013/09/24/201659で夏休みから悩んでた積分の値の極限の一致なのだけれど、ついにC85の三日目の店番中に解決を見た。夜だけど書いておく。

まじめな記述については、足跡45のサイト>ポストモダン解析学の「証明メモを見る」のところにpdfで置いてある。

なんとなくの概略を書いてみるが、ちゃらんぽらんではある。

イメージとしては、fの台を囲む正方形が2つあってその上で棒グラフでfの形を近似しているという状況で、その棒グラフの体積が2つとも大体一致するよね?という話だった。しかし、正方形の分割が互いに斜めになっているかもしれないので、結局その分割したものをあわせると変な三角形とかが出てきて、その「面積」はよく分からないのでそこから先に進めないというのが問題だった。そこで、なんとかその変な図形に対して「面積」を定義するのを回避して、正方形に対する「面積」だけで片付けようと考えていたのが多分C85の1-2日目ぐらい。ちなみに、正方形に「面積」があるのはポストモダン解析学の定義13.3の積分の定義で暗に\int f(x) dx = \sum c_i (l/n)^dと、(l/n)^dの形で表れている。

結局「面積」を具体的に値にするのは最後だけで済ませて、途中に他の多角形に対する「面積」を出すにしてもそれを抽象的なσ(多角形)という実数で済ませようと思った。必要なのは「多角形の『面積』を足すと、その多角形が集ってできている元の正方形の『面積』に一致する」ということなので、それさえ満たせばもはや「面積」は僕等の直感的な面積でなくてもよくて、果ては負の数でさえよいのではないか、ということを考えると多角形の「面積」の値をどう定めるかという問題は「多角形の『面積』を足すと、その多角形が集ってできている元の正方形の『面積』に一致する」を満たすという条件を記述した連立一次方程式が解を持つかという問題に帰着される。で、解を持つかどうかだが、多角形を出鱈目に切り刻んで係数行列のほうを好きなだけ横長にすることができるので、解を持つように無理矢理することができる。あとは直感通り計算するだけ。

ポストモダン解析学: 分割と回転(というか直交行列での変換)が分からなかった話

ポストモダン解析学の176頁の定義13.3で、極限の存在は分かったので、「同様の議論で」の一様収束列のとりかたへ依存しないことやsupp fを含むWのとりかたに依存しないこと(一意性)を調べようと思ったのだが、一部しか分からなかったという話。一意性を示すためには、収束する階段関数の列t_nt'_nをとって、
\left|\int_W t_n(x) dx - \int_{W'} t_m(x) dx\right|\to 0,\, n,m\to\infty
を示せばよい。

2つの関数列について分割の仕方も立方体のとり方も同じ場合

階段関数の積分の定義より、
\left|\int_W t_n(x) dx - \int_{W'} t_m(x) dx\right|=\left|\sum_{i=1}^k (c_i - c'_i)l_i^d\right|であり、c_ic'_iとが近いことは、階段関数の一様収束から言えて、成り立つ。

2つの関数列について立方体のとり方は同じだが、分割の個数が一致しないとき

2つの階段関数がn等分とm等分のとき、nm等分で分割して考えれば両方が一致して上に帰着される。

2つの関数列について立方体のとり方が異なるとき

2つの立方体が平行なら立方体を広げてやればなんとかなると思っていたのだが、広げると分割の仕方が変ってしまって先の式が使えなくなってしまう。ましてや、立方体に直交行列をかましたり平行移動したりしたらお手上げ。

なんでできそうな気がしていたのか

2変数で考えたとき、図的にあまりに自明だったからだと思う。しかし、分割の方法が立方体に限るという厳しい条件のせいか、どうにもならなかった。杉浦解析入門では分割は一般に長方形でできるので、直交行列で回転みたいなことをしなければ対応できた。回転ができるようになるのは結構後のほうだったし、Jurgen Joestさんがどういう意図だったのか本気で気になる。

ほか

考えて自己解決した他の分についてはサイトに置いてあるのでよかったらどうぞ
http://ashiato45.github.io/postmodern_analysis.html

バナッハ空間での二階微分の例(フレッシェ微分)

いよいよはてな記法で書くの辛くなってきたのでTeXで書いた。HTML5対応ブラウザでないと見えないかも。pdfファイルは「https://github.com/ashiato45/blog_article/tree/master/postmodern_8_13」のmain.pdf。

これは何?

ポストモダン解析学を読んでいて,バナッハ空間での微分*1が出てきて,この定義なら多変数関数に対す
る二階微分ができるはずなのだが手頃な計算例が載っていなかったので作ってみた.値を与えると関数を吐
く関数のノルムをとったりとかしなくてはいけなくて,これの扱いに慣れていなかったのがてこずった原因
だった.

本文

PDFファイルを指定します。



ご覧の環境では、object要素がサポートされていないようです。PDFファイルをダウンロードしてください


ポストモダン解析学: 補題5.13

これは何?

補題5.13の行間(?)が気になって、結局2日ぐらい考えたら分かったので書く。引用は全て丸善出版ポストモダン解析学 原書第3版 J.ヨスト著」から。引用中の赤字強調は全てashiato45による。

問題

状況設定

  • Iは実数の閉区間で、I=[a, b]
  • DはIの可算部分集合*1
  • fはIから実数への関数。以下の性質を満たす。
    • fはI上連続
    • fはI-D上で微分可能(I-D=I \cap D^c)
    • 任意のI-Dの元xについて、f'(x)\le M
    • \rho_nはDの番号付け(Dの定義により、番号付けは可能である。)
    • ηは任意の正実数。

証明しようとしているもの

f(b)-f(a)\le M(b-a)+\eta(b-a+1)

本題

証明から問題の箇所を引用します。

A:=\{\xi\in I: a\le \zeta <\xiとなるすべての\zetaf(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}とおく。a\in Aなので、Aは空集合ではない。c:=\sup Aとおく。fの連続性よりc\in Aであり…(略)

というのが本文なのだが、「fの連続性」からどうしてc\in Aが出るのか分からなかった。cがここに書いてある条件を満たしているのかとも思ったのだが、この直後にc\in Aそのものから
f(c)-f(a)\le M(c-a)+\eta (c-a)+\eta \sum_{\rho_n <  c} 2^{-n}
を導いているのでそうではないっぽい。

「fの連続性より」で何がおこったのか。

かいとう

登場人物が多くて大変なので、問題と直接の関わりがあるかは分からないがとりあえずいろいろ調べてみる。状況をなんとか目視しやすくしてみる。

まず、Aの定義からして\xi'<\xi\xi \in Aならxi'\in Aなことがわかる。*2よって、Aはぶちぶち途中で千切れたりせず、A=[a,c ] A=[a,c)のどちらかであることが分かる。
f:id:sle:20130427230710p:plain

図の下の青字にあるように、AがA=[a,c ] だろうがA=[a,c)だろうがAの任意の点\zeta\in [a,c)
f(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}がなりたつ。なぜなら、cはAの上限なので、cがAに属するとすればAの定義そのままで言え、cがAに属さなかったとしても、cよりちょっとだけ小さい点c-\epsilonを十分小さい正数εで表わせばこれはAに属するので、任意の正数εと任意の\zeta\in [a,c-\epsilon] について
f(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}がなりたち、結局同じことになる。証明おわり。なんなら、一方の点を一個とって、それが他方に入ることを言ってもいい。

ではAから出てしまったらどうなるのかというと、それはf(\zeta)-f(a)M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}の大小はどちらだか分からなくなってしまう。先程言ったように、「千切れて」とびとびにf(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}がなりたっているかもしれないし、ひょっとしたらそんな区間はないのかもしれない。

してみると、cは「aからここまでは確実にf(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}と言える」という右端の限界だということになる。そしてこれが大事なのだが、緑字で書いたとおり「右端の限界」ということは、その(cの)ちょっと右ではf(\zeta)-f(a) > M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}という風に否定が確実に成りたつということが分かる。

以上をまとめてみると、青字の情報を特殊化してとりだして、「cのちょっと左まではf(\zeta)-f(a)\le M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}(不等号が小なりイコール)」が言え、緑字より「cのちょっと右まではf(\zeta)-f(a) > M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}\}(不等号が大なり)」が言える。連続性めいてきた。

不等号の両端に式を書くのが面倒なので、以下
F(\zeta):=[f(\zeta)-f(a)]-[M(\zeta-a)+\eta(\zeta-a)+\eta\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}]
と定義する。すると、先程のは「cのちょっと左まではFは0以下」で「cのちょっと右まではFは正」ということが言える。

今は簡単のために、このcの左右ちょっとの範囲で\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}は定数であるとする。*3すると、fは連続関数であること、Fはfの足し引き定数倍であること、連続関数の足し引き定数倍は連続関数となることより、Fが連続関数であることが言える。連続関数Fが、cのちょっと左まで0以下、ちょっと右まで正なので、F(c)=0が言えた。

最後に、「cの左右ちょっとの範囲で\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}は定数である」の仮定を外す。心配なのは、「cのちょっと左まではFは0以下だったのに、不連続性をつかってぴょんとcで0でない正になってしまうのでは」ということだが、\sum_{\rho_n<\zeta} 2^{-n}が単調増加であることから、この項はFを減少させる方向にしか寄与しない。したがって不連続性を使って「増える」ことは絶対にできない。おわり。

ところで

Dで区切られた区間の各々について、千切れない区間での有限増分の定理をつかって、それを足しあわせるんじゃだめなんですか。

*1:1,2,...とIDを振れるようなIの点の集まり。Dとして[a,(a+b)/2]とかはとれない。

*2:「すべての」があるので、特殊ケースとして得られる。

*3:あとで外せることが分かる。